プロジェクトでよく発生する問題をまとめてみた

生産技術

どうも!カワヤスです。
この記事では、プロジェクトでよく発生する問題を整理してみたので、同じような問題が発生しないように先手を打てるきっかけとなれば幸いです。いつもプロジェクトがうまくいかない人やプロジェクトを任されたばかりでこれから進めていくという人にぜひ読んでほしい記事です。
なお、本記事で紹介する内容はエリヤフ・ゴールドラットさん著書の「クリティカルチェーン」に基づいています。この記事で紹介しきれないノウハウがぎっしり詰まっていますので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

◆結論

いつもお忙しい皆様のために早速結論を述べます。
プロジェクトでよく発生する問題は以下の3つです。
・予算がオーバーする
・期限までに終わらない
・その結果、計画を縮小する場合がある

なぜこのような問題が発生するのでしょうか?
ここからは、プロジェクトに携わっている皆様の心情に触れつつ、時代背景も交えながら、過去のプロジェクト事例を見ていきたいと思います。

◆このプロジェクトは失敗できない

とプロジェクト関係者は誰もが思うと思います。全社を挙げてつくった製品には当然ブランドイメージがあります。

「ブランドには、一度のミスも許されない!」と長谷川和廣さんは語ります(1)
多額のコストと時間を投じてつくった製品がもししくじったら、ブランドイメージへのダメージは大きく、取り返しのとかないことになる可能性があるからです。

◆次々と新しい製品を世に出さなければいけない

ひと昔前は、大量生産大量消費社会の時代でしたが、現代はそうではありません。多品種少量生産が進み、ますます「個」にフォーカスした時代となっています(2)。加えて、世界的に持続可能な社会の時代へと転換が求められています(3)。そのような背景で、様々な業界の製品ライフサイクルはどんどん短くなっています(4)
これは、プロジェクトのリードタイムが短くなっていることを意味します。プロジェクトを進行するうえで皆が思うこと、それは「こんな状況下で、いつ問題が起こるかわからない。いつかしくじるときが必ずくる。」ということです。しくじらないために私たちができることはあるのでしょうか。

◆しくじらないようにするためには?

世の中のプロジェクトマネージャー達は無理難題を押し付けられているのでしょうか?確かに、世の中の動きが変わっているく中で、自社の開発方法が変わらないのであれば、そもそも世の中に適用することは難しく、その現場で管理しているマネージャー陣は非常に苦しいと思います。炎上していそうですね…。しかしながら、そのような世の中に対応するべくプロジェクト管理方法も進化しています。世の中が変わってきた今やるべきことは、仕事の進め方を見直すことかもしれません。
さて、しくじらないようにするための方法についてはプロジェクトでよくある問題や失敗について理解を深める必要があります。今回はそこを深堀りしていきましょう。

◆「クリティカルチェーン」で紹介されているプロジェクト事例

本書でちらっとだけ触れられていたプロジェクト事例を深堀りしてみましたので紹介します。

■大きくプロジェクト計画期限が延びた、建設費の大幅な増大があったプロジェクト

【英仏海峡トンネル建設】
1752年から構想され始めたトンネル建設計画が1994年に完成した事例です(5)。トンネル総距離と建設総金額に着目すると、青函トンネルよりもあとにつくられた英仏海峡トンネルの建設総金額が青函トンネルのそれよりもはるかに大きいことはとても不思議です(6)。建設スタート時は60億ポンド(7)(1987当時のレート換算で1ポンド=236.3992円なので、60億ポンド=1兆4,184億円)、最終的には約1兆7000億円。このくらいの規模間で増額していることになります。トンネルをつくった後の状況は芳しくなく、ユーロトンネル社は破綻するまでに至りました(8)
【北海油田海上掘削基地開発】
北海油田は世界で最も開発コストが高い油田の一つであるそうです(9)。残念ながら、これ以上詳しい開発時の詳細な情報は見つけられず。代わりに別の油田開発の情報を共有します。
【モンスタッドスキャンダル】
油田開発における予算超過例は少なくない。予算の大幅超過により、Statoil社にて1987~88年に取締役会のほとんどが退任したそうです。大きな原因としては、不適切な計画、技術的な誤算、不適切なプロジェクト管理があります(10)(11)

■期限よりも大幅に早く終わり、コストも予算より大幅に少なくて済んだプロジェクト

【U-2開発】
1950年代初頭、ソ連の核開発計画に関してどうしても情報収集を行いたい米国のアイゼンハワー大統領は、CIAが独自に偵察機(U-2)の開発計画を進めることを承認しました。これにより資金が得られ、U-2はプロジェクト開始からわずか8カ月でソ連上空を飛行して写真を撮影したそうです(12)。これは当初計画の10分の1程度の期間だそうです。予算事情など、詳しく知りたい方は「U-2の誕生(その1~3)」(13)(14)(15)もご参照ください。

◆予算超過、期限延長させないための妥協手段

どうしようもなくなった時、仕様を見直し、規模を縮小する場合があります。当初の計画を縮小して妥協するのです。プロジェクトマネージャーたちはいろいろなしがらみの中で何とかすべく、妥協せざるを得ないのです。果たして、これは正しい選択なのかどうか考えさせられます。

◆まとめ

プロジェクトでよく発生する問題とは?
「予算がオーバーする」
「期限までに終わらない」
「計画を縮小する」
国を挙げるプロジェクトにおいても、往々にして予算超過、期限延長がある。仕様変更や縮小が許されないケースもあるが、許されるケースに至っては、妥協して計画を見直すこともままある。

◆なぜ、プロジェクトで問題が発生するのか?その根本原因に迫る。

次回以降の記事では、プロジェクト問題の根本原因をまとめていこうと思います。

以上、これらの内容が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
関係書籍のリンクは以下に貼っておりますので、気になる方はどうぞご覧ください。

【書籍】クリティカルチェーン
【書籍】2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート 利益を出すリーダーが必ずやっていること

◆参考文献

(1)長谷川和廣.2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート 利益を出すリーダーが必ずやっていること.かんき出版.2018
(2)通販新聞.さらば大量消費・大量生産の時代。消費の多様化時代を勝ち抜くカギは「パーソナライズ」「モノを介した体験」.2020.https://netshop.impress.co.jp/node/7232,(参照2022-03-14)
(3)Ayaka Toba.つくる責任つかう責任。大量生産・大量消費から抜け出すためには.2021.https://stccorp.biz/mass-consumption_and_responsibility/,(参照2022-03-14)
(4)山内 悠太.プロダクト・ライフサイクル理論から考える、単品通販のマーケティング戦略.2017.https://www.tsuhan-marketing.com/blog/marketing/strategy_productlifecycle,(参照2022-03-14)
(5)ゆっくり土建図鑑.【ゆっくり解説】英仏海峡トンネル建設の歴史【ユーロトンネル】.2021.https://www.youtube.com/watch?v=HeYM6-S75HY,(参照2022-03-14)
(6)ThinkQuest@Japan.青函トンネルと英仏海峡トンネルの比較.2003.http://contest.japias.jp/tqj2002/50196/japanese/outline/hikaku.htm,(参照2022-03-14)
(7)持田豊.英仏海峡トンネルの開通、青函トンネルから英仏海峡トンネルへ.中公新書.1994,pp.108-180,1994.8.https://www.jk-tunnel.or.jp/archive/eihutu-kaikyou-tunnel/eihutu-kaikyou-tunnel_doc/seikan-eihutu-tunnel_108-180.pdf,(参照2022-3-14)
(8)山本千雅子.ユーロトンネル社破綻の背景に関する一考察.土木学会北海道支部 論文報告集.2007.第64号.http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00057/2008/64-F-0002.pdf,(参照2022-03-14)
(9)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』.北海油田.2022.https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E6%B2%B9%E7%94%B0?action=edit,(参照2022-03-14)
(10)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』.スタトイル . 2022.https://ja.nomuwiki.com/382360-equinor-XYWWNP,(参照2022-03-14)
(11)Asianprofile.モンスタッドスキャンダル.20XX.https://www.asianprofile.wiki/wiki/Mongstad_scandal,(参照2022-03-14)
(12)Satoru Imada.「U-2」偵察機はなぜそんなにすごい航空機なのか。.2019.https://www.esquire.com/jp/lifestyle/tech/a29649996/why-u-2-is-badass-plane/,(参照2022-03-14)
(13)西山邦夫.【戦略航空偵察(15)】「U-2の誕生(その1)」.2020.https://1lejend.com/b/detail/JqOUEvbcEv/3485370/,(参照2022-03-14)
(14)西山邦夫.【戦略航空偵察(16)】「U-2の誕生(その2)」.2020.https://1lejend.com/b/detail/JqOUEvbcEv/3491536/,(参照2022-03-14)
(15)西山邦夫.【戦略航空偵察(17)】「U-2の誕生(その3)」.2020.https://1lejend.com/b/detail/JqOUEvbcEv/3498965/,(参照2022-03-14)

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