どうも!カワヤスです。
これまでは、プロジェクトのボトルネックはクリティカルパスだと述べました。TOCのステップ2では、制約条件を徹底活用しなければいけません。ではどうすればクリティカルパスを徹底活用できるのでしょうか?この記事ではプロジェクトの全体最適を目指し、クリティカルパスの徹底活用について言及して参ります。今までプロジェクト管理で悩みを抱えていた方は、改善の本質について気づくきっかけになればと思います。この記事が皆様のプロジェクト管理のヒントとなれば幸いです。
結論
おいおいカワヤスさん。生産設備の時もボトルネックを保護していたけど、さすがにプロジェクトではそう上手くいかないんじゃないの?と声が聞こえてきそうですが、しっかり解説していきたいと思います。では行きましょう!
過去の記事で述べたように、重要なのは全体のパフォーマンスです。部分効率化を良しとする考え方はコストワールドの考え方です。一方で、全体のパフォーマンスを守る考え方はスループットワールドの考え方です。
クリティカルパスの徹底活用(ステップ2 制約条件の徹底活用)
クリティカルパスを無駄にしないという意味はどういうことなのでしょうか?
クリティカルパスで遅れが生じると、プロジェクト全体が遅れますよね。そうであれば作業が遅れると、プロジェクトも遅れることになります。それでは、いまはどうやってクリティカルパスに割り当てられている時間を無駄にしているのでしょうか?
各ステップにセーフティタイムを沢山つけて保護することが間違っているという点には同意いただけますでしょうか?
各ステップをセーフティで保護する考え方はコストワールドの考え方でしたね。では各ステップにセーフティを少しは付け加えた方が良いのでしょうか?もちろん、マーフィー(突発のトラブル)は存在します。ですが、セーフティは一番役に立つ場所に置きます。制約条件を保護するためにセーフティを置くんです。皆さんの制約条件は何でしたか?クリティカルパスです。ということは、保護しないといけないのはクリティカルパスの完了期日です。であれば、セーフティは全てクリティカルパスの最後に置きます。各ステップからセーフティを全部取り去れば、プロジェクトバッファを用意するのに十分な時間を取れるはずです。
A01冷蔵庫プロジェクト(架空)
A01冷蔵庫はあと6ヶ月で製品を完了させなければいけない状況だとします。クリティカルパスにはまだやらなければいけないステップがたくさんあります。あなたのチームの今の予想では少なくとも2ヶ月は遅れる見通しです。市場の競争を考えれば2ヶ月でも許されません。そこで機能を減らしたり、縮小したりして開発時間を短縮することさえ既に検討されはじめています。規模の縮小については経営層がまだ認めていない状況です。残りのステップが今の予想のままだとするとプロジェクト完了まで8ヶ月かかります。ただし、クリティカルパスのみにバッファを置く方法を使えば、5ヶ月以上のプロジェクトバッファを用意することができます。ステップが時間内で作業を完了させることのできる確率は50%です。
しかし、バッファを一か所だけに置くなんて直ぐには飲み込めないですよね。理論的にセーフティが200%以上あることは認めることができても、いざ自分の時間を削られるとなると、そう簡単に首を縦に振れないものです。時間内に終わらせられなかったからといって、他者を責めてはいけません。大事なのは個々のステップの期日ではなく、プロジェクト全体の納期です。
TOC ステップ3 制約条件以外の全てを制約条件に従わせる
クリティカルパスでは少しでも時間を無駄にしてはいけません。しかしそのためには、次のステップで制約条件以外のすべてを制約条件に従わせないといけません。でないと制約条件を徹底活用できなくなります。どうしてでしょうか?従わせないと、どこか他の場所で起こったトラブルが原因でクリティカルパスの時間が失われてしまうからです。制約条件を保護することができなくなります。
まとめ
今回はTOCのステップ2のプロジェクトバージョンを解説しました。プロジェクトにおいてはボトルネックはクリティカルパスですので、クリティカルパスを徹底活用する必要があります。クリティカルパスを徹底活用するためには、クリティカルパスの最後にのみバッファを置く必要があります。他のすべてのステップにバッファは不要です。そしてステップ3では、制約条件以外を制約条件に従わせる必要があります。さてどういうことでしょうか?次回はステップ3について解説して参ります。
最後になりましたが、本記事が皆様に少しでもお役に立てれば光栄です。今後ともカワヤスブログをお願いいたします。
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