スループットを向上・改善するために本当にすべきことは何か?経営哲学から生産技術を考える!

どうも!カワヤスです。
この記事ではスループットを向上・改善するために本当にすべきことを考察してみました。スループットの本質を紐解き、改善への一歩を踏み出すきっかけになればと考えています。工場の経営改善、スループット改善、プロジェクト管理のヒントとなれば幸いです。
なお、本記事で紹介する内容はエリヤフ・ゴールドラットさん著書の「クリティカルチェーン」に基づいています。この記事で紹介しきれないノウハウがぎっしり詰まっていますので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

結論

それでは早速結論です。結論:スループットを向上・改善するために本当にすべきことはスループットワールドに基づいてスループットを改善することです。過去の記事では、スループットワールドとコストワールドは相いれない存在だと述べました。どうして相いれないのでしょうか?本記事ではその理由を解説すると共に、なぜスループットワールドの考え方がいかに大事であるかを述べたいと思います。
さてそれでは、スループットワールドへいってらっしゃい!

話の前置き~問題解決~

問題を解決するためにはまず問題が何か正確に認識しなければいけません。これはだれにもわかっていることです。しかし、正確に認識するということがどういう意味なのか。これをはっきりと定義することは誰もしません。
私達は、いつ、どの時点で問題をはっきり正確に認識したと知ることができるのでしょうか?それは問題が解決し、振り返って考えてみた時です。では、問題が解決する前はどうでしょうか?問題が解決する前にどうしたら問題を正確に認識したと知ることができるでしょう?
TOCではサイエンスで用いられる定義を使用します。問題を正確に認識するということは、二つの必要条件の間にコンフリクト、つまり対立点があることを示すのです。コンフリクトを示すことができなければ、問題を正確に把握したとは言えません。

マネジメントのコンフリクト

マネジャーの目標は仕事を上手くマネジメントすることです。うまくマネジメントするための必要条件

・まずコストを管理すること。
・もう一つはスループットを守ることです。

しかし、コストを管理するにはコストワールドに従ってマネジメントしなければなりません。一方でスループットを守るためには、スループットワールドに従ってマネジメントしなければなりません。そしてこの2つにはコンフリクトがあるのです。
まずはお互いに譲歩の余地がないか考えます。もしなければどうすればいいでしょうか?サイエンスではどうするのでしょうか?たとえば、建物の高さを測るとしましょう。ある方法で測ったら、10メートルでした、別の方法では20メートルでした。コンフリクトです。しかし、だからといってお互い妥協して15メートルで手を打とうという話になるでしょうか?サイエンスの場合コンフリクトが発生するとどうなるでしょうか?科学者たちのリアクションは妥協を全く許しません。私達であれば、なんとか折り合いがつく妥協点を見つけ出そうとしますが、彼らはそうではありません。この世にコンフリクトなど存在しないと考えるのです。
2つの方法が共に広く知られている方法だとしても、科学者は本能的にいずれかの方法に問題がある、理論上の仮定が間違っていると結論づけるのです。そうしたとき、彼らは間違った仮定を探して修正することに全精力を注ぎ込みます。
私達に同じことができるでしょうか?

コンフリクト

私達が相手にしているのは、人をベースにした組織です。そんな私たちがコンフリクトは存在しないなどと信じることができるでしょうか?TOCの理論の中で何が一番斬新かといえば、恐らくこの考えかたでしょう。コンフリクトが生じた場合、それは誰かが間違った仮定をしているからだ。しかしその仮定は修正することができ、修正することによってコンフリクトは取り除くことができる。という考え方です。
それでは基本となる仮定を考えてみましょう。まず、コストを管理するためには、コストワールドに従ってマネジメントしなければいけない。どうしてですか。優れたコストパフォーマンスを実現するには組織内の一つの部門においてローカルパフォーマンスを向上させなければいけないと考えるからです。優れたコストパフォーマンスを実現するには、優れたローカルパフォーマンスを図るしかない。
ではスループットを守るためにはどうしてスループットワールドに従ってマネジメントしなければいけないのでしょう。それは一つひとつの部門のローカルパフォーマンスが優れていたとしても、組織全体としては優れたスループットは実現できないと考えるからです。つまり、ローカルパフォーマンスが優れていても、優れたスループットは実現できないということです。

どちらの仮定かが間違っているのでしょうか?それとも妥協点を探し出しましょうか。

前者の仮定が間違っていることを証明してみます。
あなたはボトルネックで生産能力10、そしてその前工程のあなたは20のキャパシティがあります。前工程のあなたは、何個製造しますか?10ですよね。しかし10にする必要があるでしょうか?
結論、あります。10を越えて製造すると、不必要な在庫が溜まるからです。在庫が増えるとコストはどうなりますか?増えますよね。皆さんの非ボトルネックでは20加工してはいけない。10しか加工してはいけないと言いました。これはスループットを守るためではなく、コストを抑えるためだったんです。非ボトルネックにローカルパフォーマンスを半分におさえて作業するように指示する理由はコストを管理するためです。となると、図はどうなりますか?優れたコストパフォーマンスを実現するには、優れたローカルパフォーマンスを図るしかない。これが間違っていたんです。

経営哲学

新しい経営哲学はどれもはっきりとは示していなくても、暗黙のうちにこれを認識しているのです。どれもスループットを重要視し部分最適化からは距離を取っているのです。例えばJITやTQMはTOCのようにもっと集中しなさいとは教えていませんが、スループットについてはこれを重要視しています。それからリエンジニアリングは、基本的な仮定を見直すことの重要性を強調しています。リエンジニアリングとは、企業における、既存の管理方法や業務プロセスを抜本的に見直し、変更すること。ビジネスプロセスを再構築することにより、業務スピードの向上、人件費などのコスト削減、さらに競争優位の創出が可能になるものです。ラーニングオーガニゼーション【学習する組織】は中途半端な妥協をwin winのソリューションに置き換えようというのが考え方の基本です。TOCの分析手法を系統立てて用いることで、実はこれらの経営哲学はひとつにまとめることができるのです。

まとめ

いかがでしょうか。スループットワールドとコストワールドは相いれない哲学だったのです。
そして、スループットワールドこそが、真にスループットをコストの両方を改善できるのです。
加えて、私たちはこれまで数々の学者や経営者が導き出した考えを学ばなければなりません。
さもなければ、すぐにでも部分改善に走ってしまいます。フォーディズム、トヨタ生産方式、TQM、LEAN、SIXΣ・・・そしてこれらの経営哲学をTOCはひとまとめにしているというのです。とんでもないことですね。その全容については、今後明らかにしていきたいと思います。

最後になりましたが、本記事が皆様に少しでもお役に立てれば光栄です。今後ともカワヤスブログをお願いいたします。

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