なぜプロジェクトは期限内に終わらないのか?セーフティの浪費を暴く!

生産技術

どうも!カワヤスです。
この記事では十分なプロジェクトのセーフティを準備していても、プロジェクトが納期内に終わらない理由を紐解いてみました。今までプロジェクトの納期で悩まれていた方は、セーフティの用い方の本質に気が付くきっかけになればと思います。この記事が皆様のプロジェクト管理のヒントとなれば幸いです。なお、本記事で紹介する内容はエリヤフ・ゴールドラットさん著書の「クリティカルチェーン」に基づいています。この記事で紹介しきれないノウハウがぎっしり詰まっていますので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

結論

それでは早速結論です。結論:十分なプロジェクトのセーフティを準備していても、プロジェクトが納期内に終わらない理由は、セーフティが浪費されているからです。

おいおいカワヤスさん。誰も別に仕事をサボっている訳ではないよ!毎日汗水流してずっと働いてますよ!と声か聞こえて聞こえてきそうですが、しっかり解説していきたいと思います。では行きましょう!

過去の記事で述べたように、プロジェクトの大部分にはセーフティが組み込まれていることがわかりました。では、セーフティが大量に組み込まれているのであれば、なぜプロジェクトはスケジュール通りに終わらないのでしょうか?組み込まれるセーフティの解説は過去のこちらの記事を参考にしてください。
過去記事:プロジェクトリードタイムが長い理由とは?

セーフティが組み込まれているにも関わらず遅れるケース

例えば、大型ショッピングモールの建設があったとします。その完成が丸2ヶ月分遅れました。

プロジェクト担当者:「表向きには完成間近になっていろいろ変更が重なったことが原因となっているんですが、本当の原因は天候でした。天候が非常に不順だったのです。やり直ししなければいけないことが多数発生しました。どうしようもできなかったのです。」
あなた:「もともとの見積もり時間はどの程度でしょうか?」
プロジェクト担当者:14ヶ月です。
あなた:おかしいですね。もともとの見積もりの大部分がセーフティだとすると、このプロジェクトのセーフティは2ヶ月どころではないはずです。もっと沢山のセーフティがあったはずだです。そうであればプロジェクトの完成が遅れることもなかったはずですよね。
プロジェクト担当者:恐らく、予想できないような問題が起こったからではなでしょうか。誰かが休むことや、窓が割れた程度の問題は予想の範囲内であるが、大きな問題は予想できないです。
あなた:しかし、予想できないような大きな問題もカバーできるはずです。でなければ確率分布でいう200%をカバーするようなセーフティを取らないはずです。
確率分布については過去の記事をご参照ください。
過去記事:プロジェクトリードタイムが長い理由とは?

浪費の考察

図に示すように、それぞれのBOXはプロジェクトの中間ステップだとします。2つのステップは繋がっています。各ステップの見積もり時間はそれぞれ10日です。ところが最初のステップに12日かかったとしましょう。二番目のステップは遅れた分開始が遅くなります。当たり前のことですね。
では逆に予定より早く、8日で作業を終えたとしましょう。そしたらどうなりますか?もし最初のステップが8日で終われば、次のステップはいつ開始すればいいのでしょうか?

プロジェクト担当者:もともと予定していたタイミングでスタートします。
あなた:どうして?
プロジェクト担当者:予定より早く作業を終わらせても、最初のステップはそれを報告しないからです。現状の仕組みでは作業を早く終わらせても何のご褒美はもらえない。むしろ、早く終わらせることでペナルティが課されることもあります。もし作業を早く終えたら、上はできると思って次からは時間を短くしろとプレッシャーをかけてきます。自分だけでなく、同じような仕事をしている周りの人にも同じようなプレッシャーがかけられて、みんなから恨みを買うことになりかねません。
あなた:であればどうするのですか?
プロジェクト担当者:適当に時間を潰すのです。
早く作業を終えても他の仕事をしたり、他の現場を見たりして忙しいです。
あなた:何も建設業界に限ったことではない。他の業界にも当てはまることだ。
時間が余って、もし報告したとしたら、どうなるんですか?
プロジェクト担当者:特に何も起きないと思います。次のステップを担当しているものは、時間に余裕ができたことを知るだけで、急い作業に取り掛かろうとはしないのです。

ここまでをまとめると

どうやらセーフティは取られているということが正しいようですね。感覚的にもセーフティが組み込まれていることには納得できます。そして、セーフティの用いられ方(使われ方)に根本的な問題がありそうですね。今回の例では、作業が早く終わっても、担当者は他の作業に追われてしまうため、セーフティは浪費される(放置される)ことになりますね。
次回は、セーフティが浪費されてしまうことの意味について深堀していこうと思います。

最後になりましたが、本記事が皆様に少しでもお役に立てれば光栄です。今後ともカワヤスブログをお願いいたします。

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