どうも!カワヤスです。
この記事では、プロジェクトでよく発生する遅延問題の根本原因をまとめてみました。いつもプロジェクトがうまくいかない人やプロジェクトを任されたばかりでこれから進めていくという人にぜひ読んでほしい記事です。同じような問題が発生しないように先手を打てるきっかけとなれば幸いです。
◆結論
それでは早速結論です。
一体どういうことでしょうか?早速解説していきます!
◆プロジェクト遅延による影響
まず原因の話をする前に、プロジェクト遅延による影響を少し考えてみましょう。
プロジェクトが遅延すると、利益の出始める時期が遅れるます。すると、利益を得られる期間が短くなると考えられます。これは、プロダクト・ライフサイクル理論から説明がつきます。(前回記事参考)
一方、プロジェクトが遅延すると、その分人材への追加投資が必要(期間が延びれば人件費もかかる)です。また市場の状況も変化するので、投資回収期間が延びることになります。投資回収期間が延びる原因は単にコストだけの影響ではないです。プロジェクトの延期もかかわります。コストよりもプロジェクトの完成が遅れることのほうが一般的には影響が大きいです。
すなわち、プロジェクト遅延の影響は想像以上に大きく、絶対に遅れてはいけないと言えるでしょう。(当たり前ですが…)
◆プロジェクト遅延原因
では、なぜ遅らせてはいけないとわかっていても、プロジェクトは遅延してしまうのでしょうか。本書で紹介されているあるプロジェクトの遅延原因をまとめてみます。
■社外にオープンになっている公式な理由(表向き)
・予期しない納入業者側の問題によって機械・設備の導入が遅れた。
・マレーシア政府との雇用条件交渉が予想以上に長引いた。
どれも自分たちではコントロールできない問題ですね。
■非公式な理由(プロジェクトリーダー(PL)の外に出せない本音)
・あまり信用できない業者でも、コスト優先で使わざるを得なかった。
・再三の指摘にも関わらず、現地工場での従業員の採用、トレーニングが遅すぎた。
どれも社内で発生している問題ですね。
■非公式な理由(PLの下で働くスタッフによる本音)
・現地マレーシア建築業者に対する管理・監督が甘すぎた。
・プロジェクトスタッフは、負担が大きく、緊急の問題が発生するたびに、次から次へと仕事を移動させられた。
・作業調整のための無駄な会議が多すぎ、実際の作業の妨げになった
こちらはより現場に近い問題が多いです。
実際、プロジェクトに関わると数えきれないほどの多くの問題に直面し、その都度対応を迫られます。上記で挙げた遅延原因は氷山の一角。しかし、具体的でありつつも、皆さんが共感できる部分も多いはずです。これらの原因を基に、プロジェクトの性質について追究してみます。
◆遅延原因考察
■考察その①
PLやその下で働くスタッフの意見にフォーカスすると、問題の原因を他人のせいにし、責任を押し付けあっていることがわかります。下のほうの人間になればなるほど、社内で責任を押し付けあっている。もしそうであるならば、少なくとも問題の多くは社内に責任の所在があることになります。ということは、社内努力でもっとプロジェクトをうまくマネジメントできたはずです。
どうやって社内の問題を解決するか。業者の管理監督が不十分なのであれば、単に人を増やせばいいのでは?と思います。しかし、人が増えるということは、作業調整のための時間と努力も増えるということ。人の数が倍になれば、調整努力はさらに増えます。
下級マネジャーのあげた理由から判断する限り、結論、プロジェクトをマネジメントするもっといい方法を見つけないといけないです。
■考察その②
公式な理由を見る限り、共通していることは、不確実性です。プロジェクトの開始時点ではどれも予想が困難なものばかりです。
「予期しない納入業者側の問題によって機械・設備の導入が遅れた。」という要因も、よくよく考えてみれば不確実性が深く絡んでいます。普通、業者側が故意にプロジェクトを遅らせることなどないです。理由は、通常であれば、業者への支払いの多くは仕事が完了してから行われるからです。であれば、なぜ遅れたのでしょうか?それは、業者側も不確実性を抱えているからです。
■考察その③
非公式な理由(PLの外に出せない本音)を見ると、どれも納得のいく理由でです。「もともと非現実的なスケジュールを会社側に押し付けられた。」ということに対しては、不確実性を考慮すれば非現実的と言わざるを得ないです。「あまり信用できない業者でも、コスト優先で使わざるを得なかった。」ということに対しては、不確実性への対応力は選定基準とはされなかったということです。「再三の指摘にも関わらず、現地工場での従業員の採用、トレーニングが遅すぎた。」というのは、機械や設備がないのに人だけ雇っても給料の無駄遣い。だから人の採用が遅れたということになります。
◆プロジェクトの性質
考察をまとめると、プロジェクトには不確実性はつきものであります。不確実要因によって生ずる多くの遅延はもっと上手くプロジェクトをマネジメントすることで解決できると言えます。
◆プロジェクト遅延対策
結論、プロジェクトを計画する段階で、予想に不確実要因を上手く組み込むことができれば、よいということになる。
◆カワヤス的補足
おいおいカワヤスさん!一体どうすれば不確実要因を組み込めるんだい!と多くの方が思われると思いますが、その内容はまた次回の記事にてまとめていきたいと思います。
しかしながら、ここまで得られるものは非常に多かったはず。不確実要因を組み込む前に、今目の前にあるプロジェクトや、次に控えているプロジェクト、はたまた自分の将来のために真っ先に行わなければならないことがあります!
■その1
それはPDCAを回すことです。一つ一つの不確実要因は小さくとも、それが重なると、もしくはクリティカルチェーン上で発生すれば、納期への影響はとてつもなく大きいです。同じような要因をつぶすべく、原因を深堀し、先手を打てるようにしましょう。一度経験した失敗は、抽象化して持論化してください。それがあなたの教訓となります。
例えば、私の失敗談ですが、工事中に小火を発生させてしまったことがありました。これは現場付近に可燃物であるブルーシートがあったことが原因でした。工事時のルールとして、可燃物を撤去してから作業を行うというルールがありましたが、実践できていませんでした。これはルールの理解力不足や可燃物の認識不足からくるものでした。
そこで、同じ失敗を繰り返さないために、自分の中で以下のような教訓ができました。
・ルールをよく理解してから工事を行う。
・工事のプロである業者もよく現場を理解しきれていないため、とにかく情報共有を怠らない。→他人の力を大いに借りてでもいいから、絶対に火災は起こさない!
■その2
一方で、既に起きてしまった問題に対して、どのようにアプローチするかも重要です。悪い情報ほどすぐに共有し、周囲と協力して目標を達成しましょう。
これも私の失敗談ですが、初めて設計した消石灰を貯蔵するサイロ(ホッパー)でフラッシングを発生させてしまいました。フラッシングとは、わかりやすく言うと粉体の流動化です。サイロの中身の粉体が何かの拍子に一気に外へ出てきてしまったんですよね。それはもうとても悲惨な状況でした。もう現場から朝5時くらいに電話がかかってきたときは、朝からゲロりそうになりました。消化しきっていておなかの中に何もなかったんですけどね。ただこれは、自分でもどうしようもないことは明らかですので、事態がより深刻になる前に上司や関係者へ電話して周囲の助けを仰ぎました。その結果、操業への被害は最小限にでき、フラッシングが二度と発生しないように設備改造もスムーズに行われました。当時の心境はいまでも忘れられませんが、すぐに情報共有することって本当に大事だなと実感したエピソードでした。
◆まとめ
プロジェクト遅延の根本原因は、不確実要因が多すぎるということです。そもそもプロジェクトには不確実性がつきもので、その不確実要因とどう向き合うかが、プロジェクトを上手く進めるポイントとなります。そしてカワヤス的補足では、起こってしまった問題に対して、PDCAを回してアプローチしていきましょうとお伝えしました。具体的には、失敗を抽象化し、教訓とすること、そして悪い情報ほどすぐに共有し、目標を達成しましょうということです。
最後になりましたが、本記事が皆様に少しでもお役に立てれば光栄です。今後ともカワヤスブログをお願いいたします。
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