プロジェクトリードタイムが長い理由とは?

生産技術

どうも!カワヤスです。
この記事ではプロジェクトリードタイムが長い理由を紐解いてみました。今までプロジェクトの納期で悩まれていた方は、リードタイムが長くなってしまっている本質に気が付くきっかけになればと思います。この記事が皆様のプロジェクト管理のヒントとなれば幸いです。なお、本記事で紹介する内容はエリヤフ・ゴールドラットさん著書の「クリティカルチェーン」に基づいています。この記事で紹介しきれないノウハウがぎっしり詰まっていますので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

結論

それでは早速結論です。結論:リードタイムが長くなる理由は、プロジェクト関係者がそれぞれの段階でセーフティを設けるからです。

おいおいカワヤスさん。それだけは公にしないでくれ。みんな本当はわかっているけど、自分を追い込みたくないから誰も言わなかったんだ。と声が聞こえそうですが、現実に目を背けず、しっかり解説していきたいと思います。では行きましょう!

セーフティとは

そもそもセーフティの概念が気になりますね。そこで簡単な例を紹介します。皆さん、サイコロを振って、出た目の合計が7に達するためには何回サイコロを振る必要がありますか?期待値を計算すると3.5ですので、2回と答える人もいるでしょう。一方で1が7回出る(27万9936分の1の確率)かもしれないので、7回サイコロを振ることが確実と答える人もいるでしょう。そうです。人によって見積がまちまちなのです。2回の人は余裕を全く見ていません。一方で7回の人は余裕を最大限見ています。この余裕をセーフティと言います。

プロジェクトに含まれるセーフティ

セーフティには大体3種類程度あると思います。

一つ目は、担当者の経験に基づいて組み込まれるセーフティです。

普通、プロジェクトでは各ステップごとにどの程度時間がかかるのか予想を立てます。それぞれのステップの開始から終了までの見積時間のことです。例え話として通勤時間を用います。会社から自宅まで車で通勤するとして、どれくらい時間がかかるでしょうか?私は約25分です。この約とは、20分かかる時もあれば、40分かかるときもある。道路の混み具合や積雪の影響、信号の影響などで左右される。渋滞がひどければ一時間以上かかる。タイヤがパンクしてしまったらもっと時間がかかるということです。ここで、この見積時間には統計学的観点から見ると、幅があることになります。
確率分布にすると、10分で着く確率はゼロ。一番確率が高いのは25分。しかし、3時間でも確率はゼロにならない。


この分布でいくと、妻に確実に帰宅する時間を伝えるためには、25分だと少々リスクが高い。だから40分と言っておこう。そうすれば、遅れて怒られるリスクを減らせる。多めに50分といえば、逆に怒られる。と我が家ではなります(笑)。

このように、プロジェクトを構成する一つ一つのステップには、実はセーフティがたくさん組み込まれているということがお分かりいただけたと思います。普段私たちがどれだけセーフティを盛り込んでいるか、想像に容易いですね。
ただし仕事の場合、これらのセーフティにはある条件がついてきます。それは周りの人次第だということです。周りが遅れないでしっかり仕事をしているかどうか。それ次第ということです。

二つ目は、マネジメントが関わっている場合、その階層毎に組み込まれるセーフティです。

5+5=13という話
プロジェクトのステップがいくつかに構成されていて、各々違う人間が担当するとします。このプロジェクトリーダーは各人にスケジュールの見積もりを立てるように指示します。集まった見積もり時間をリーダーは全部合計します。しかしながら、単に合計するだけではなく、その合計にリーダーも自分のセーフティを足してしまうのです。つまり、ある一つの作業の見積が5日間として、続く作業の見積も5日間だとすると、リーダーは合計13日という見積を立ててしまうということです。マネジメントが何段階かある場合、その階層ごとにセーフティが組み込まれている可能性もあります。

三つめは、積もりした時間がカットされるのを最初から予想してその分を水増しする場合のセーフティです。

プロジェクトがいつ終わるのか見積もりを立てても、上に認められないケースがよくあると思います。「時間がかかりすぎる。もっと短縮しろ。」というのです。半分くらいのケースでは最終的な見積もりが全て出揃ったあとに、リードタイムを例えば20%カットしなければいけなくなります。でも今ではみんなそれに慣れていて、逆に最初から25%の水増しして見積を立てているのではないでしょうか?

ここまでをまとめると

プロジェクトの各ステップの見積もり時間にセーフティが組み込まれるのには3つのケースがある。
一つ目、自分が経験した体験に基づいてセーフティを組み込むケースである。確率分布の右の方にあたる。
二つ目、マネジメントが関わっている場合、その関わっている段階が多ければ多いほど、見積もりは長くなる。各段階ごとにセーフティが加算されているからだ。
三つ目、見積もりした時間がカットされるのを最初から予想してその分を水増しする場合だ。これらを全部足すと、立てた見積もりの大部分をセーフティが占めるということになる。

ところで

もし立てた見積もりの大部分がセーフティであれば、なぜプロジェクトはスケジュール通りに終わらないのであろうか?時間内に終わらないプロジェクトが多すぎる。次回はセーフティの用いられ方について言及いたします。

最後になりましたが、本記事が皆様に少しでもお役に立てれば光栄です。今後ともカワヤスブログをお願いいたします。

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