なぜプロジェクトでは人手が不足するのか?ザ・ゴールの制約条件の理論をわかりやすく解説!

生産技術

どうも!カワヤスです。
これまでは失敗しないプロジェクトの進捗管理や非クリティカルパスがクリティカルパスに変わり得る話について述べました。「ここまで理解していれば大体のことには対応できる。よーしこれで管理はばっちりだ。計画通りプロジェクトを進めていこう!あれ?この非クリティカルパスが遅れ気味だ。何?着手したいけど人手が足りない!?」ということがあると思います。この記事ではプロジェクトでよく発生する人手が足りない問題について根本原因を言及して参ります。今までプロジェクト管理で悩みを抱えていた方は、改善の本質について気づくきっかけになればと思います。
この記事が皆様のプロジェクト管理のヒントとなれば幸いです。

なお、本記事で紹介する内容はエリヤフ・ゴールドラットさん著書の「クリティカルチェーン」および「ザ・ゴール」に基づいています。この記事で紹介しきれないノウハウがぎっしり詰まっていますので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
本書リンク:クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
本書リンク:ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
失敗しないプロジェクトの進捗管理については過去の記事をご参考ください。
過去記事:失敗しないプロジェクト進捗管理とは?

結論

それでは早速結論です。
結論:人手が不足する原因は、業務負荷を考えずにスケジュールを組んでいるため。

「おいおいカワヤスさん。え?そんなことないですよ。うちの部署では個人個人の力量と案件のボリュームを考慮して仕事を割り振っています!なのに人手が足りないんです。どうしてでしょうか?」と声が聞こえてきそうですが、しっかり解説していきたいと思います。では行きましょう!

話の前置き

前回の記事では、非クリティカルパスがクリティカルパスに置き換わり得るをいう話をしました。しかし、実際に置き換えることを考えると、変更する項目がありすぎて現実的には無理そうな印象でした。一方で、クリティカルパスを変更しなければ現実を無視することになることもまた事実です。今回はこのコンフリクトから話を進めて参ります。

コンフリクト

目標:プロジェクトをスケジュール通りに終わらせること。
必要条件1:すべてを並び替えない(並び替える余裕などない)←クリティカルパスを変更しない。
必要条件2:真のクリティカルパスを放置しておかない。←クリティカルパスを変更する。
ここで一番気に入らない矢印のところに注目します。プロジェクトの途中でクリティカルパス変更をすることなどしたくないです。

もともとのクリティカルパスと真のクリティカルパスの違い

クリティカルパスを変更しないと、本当のクリティカルパスが守られないという意見だが、その裏にはどのような仮定があるのでしょうか。もともとのクリティカルパスと真のクリティカルパスはどの程度違うのでしょうか。全然違うのでしょうか?いいえ。二つのパスが合流する地点からプロジェクトの終わりまでは同じです。違うのは、ステップA1から二つのステップが合流する手前のステップまでです。

ということは、ほとんどの場合、新たに追加しなければいけないような合流バッファはありません。

リソース(作業員)の話

ところで、リソースバッファはどうなるでしょうか?必要なリソースバッファを途中のステップに用意する必要はあるのでしょうか?「もともとの合流バッファはすべて使い切ってなくなっているわけなので、自然と遅れている非クリティカルパスのステップに注意が向けられるはずです。だから必要ない」と本当に言えるのでしょうか。ここで非クリティカルパスでよくあるケースを列挙したいと思います。

・クリティカルパスは非クリティカルパスへ頻繁に移動する。
・何の問題もなく順調に作業が進んでいた非クリティカルパスが突然トラブルになってしまう。
・合流バッファは全然減っていない非クリティカルパスで特に大きな問題がないのに遅れだす。
・ステップの作業を開始すらしていないのに、非クリティカルパスが遅れだす。

これらのケースは人手不足によって発生します。非クリティカルパス上のステップで仕事を始めようと思ったら、必要なリソースがないんです。一体、どこにいったのでしょうか。それは別の非クリティカルパスで仕事をしているんです。決してサボっているわけではありません。そうであれば連れ戻せばいいのではないでしょうか?しかし、それができないのです。なぜなら、その非クリティカルパスも遅れていからです。

黄色の塗りつぶしのステップは同じスペシャリスト(リソース:X)によって行われるステップです。このスペシャリストは一人しかいません。どのステップも5日間かかるとします。合流バッファも5日分だとします。この問題はどんなプロジェクトでも有り得る問題です。みんなでXを取り合うことになります。そのため一時的にXの負荷が過剰になり作業が追い付かなくなるのです。そしてひとつの非クリティカルパスから別の非クリティカルパスへと遅れが連鎖的に発生します。合流バッファだけでこの遅れのすべてを吸収できるとは限りません。クリティカルパスが次から次へと移るのもうなずけますよね。Xのキャパシティには限界があります。それを考慮したソリューションが必要であるということです。

まとめ

人手が不足する原因は、個人の業務負荷を考えずにスケジュールを組んでいるためでした。例え個人の力量や業務ボリュームを考慮して仕事を割り振りしても、その時になってみないと個人の抱える負荷はわからないのです。だって、プロジェクトは不確実性の塊なのだから!とは言っても、ガントチャートを作成した時点である程度リソースの被りは予想できそうですね。それでも限界はあって、マーフィに対応できなければ計画は総崩れしてしまいます。さてどうしたものか。今後はこういったリソースの問題についても言及して参ります。

最後になりましたが、本記事が皆様に少しでもお役に立てれば光栄です。今後ともカワヤスブログをお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました